2024/12/27
未成年でも銀行口座は開設できる|必要な書類や手続きは
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

銀行の口座開設には年齢制限がありません。そのため、未成年でも自分の口座を持てます。ただし、成人の口座開設とは異なる手続きが必要になる場合もあります。
この記事では、自分で手続きしようとする未成年の方、子どものために口座を作ってあげようと考えている保護者、双方に向けて口座開設に必要な書類や手続き方法を解説します。
初めての銀行口座でも安心して利用できるよう、銀行口座の活用方法や注意点などについてもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■銀行口座は未成年でも開設できる
銀行口座は年齢に関係なく開設できるので、たとえ名義人(口座の所有者)が0歳でも100歳でも問題ありません。
未成年者本人が自分で手続きして口座開設するのも、親が未成年の子のために口座開設するのも、どちらも可能です。
ただし、銀行にもよりますが基本的には「0歳~14歳」と「15歳以上」で手続き方法などが異なるのが一般的です。これは、0歳~14歳は本人ではなく親が口座を作って管理するものと考えられているからです。
では、未成年の口座開設には何が必要で、どんな手続きになるのかを具体的に見ていきましょう。
■未成年の銀行口座開設に必要なもの
未成年の銀行口座開設に必要なものは、口座名義人の年齢によって多少異なります。
●口座の名義人が0歳~14歳の場合
- マイナンバーカード(親と子の両方)
- 住民票の写し(マイナンバーの記載がなく、世帯全員の記載があるもの)
子どもが14歳以下の場合は、名義人(子)と手続きする人(親)の親子関係を証明する必要があります。これは親が子の代わりに手続きすることが想定されているためで、15歳以上の手続きとは大きく異なる点です。
銀行によっては、印鑑(銀行印として届け出るもの)も必要になる場合があります。
●口座の名義人が15歳以上の場合
- 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証、パスポート、運転免許証、住民票の写しなど)
15歳以上の人の口座開設は、未成年であっても成人の通常の口座開設とほぼ同じです。本人確認書類は2種類以上の提出を求められることもあるため、よく確認しましょう。なお、学生証は本人確認書類として認められないのが一般的です。
0歳~14歳と同様、印鑑(銀行印として届け出るもの)が必要になる場合もあります。
●必要書類を用意する際の注意点
書類を準備する際は、以下の点に注意しましょう。
- 必要なものは銀行によって異なる
- 住所・氏名・生年月日の記載は要確認
- 書類には有効期限がある
本人確認書類として認められる書類の種類や、印鑑の有無などは銀行によって多少異なります。口座を開設する銀行を決めたら、申込前に必要書類についての案内を確認しておきましょう。
また、本人確認書類に記載されている住所・氏名・生年月日は、申込時に申告した内容と一致している必要があります。本人確認書類に記載されている住所が現住所と異なる場合などは、追加で正しい情報を確認できる別の書類の提出を求められることがあります。
なお、住民票の写しは発行時期の制限があり、古いものは使えません。その他の本人確認書類も、有効期限内のものしか認められませんので注意しましょう。
■未成年が銀行口座を開設するための手続き
未成年が銀行口座を開設する際は、基本的に次のような流れで進めます。
- ステップ1 : 口座を開設する銀行を選ぶ
- ステップ2 : 必要書類を準備する
- ステップ3 : 口座開設の申込みをする
- ステップ4 : キャッシュカード等を受取る
以下、1ステップずつ順番に見ていきましょう。
●ステップ1 : 口座を開設する銀行を選ぶ
まずは、どの銀行で口座を作るのかを決めましょう。
銀行によって、口座開設の手続方法や必要書類が多少変わってきます。また、その後の使い勝手や手数料なども異なるので、たとえば「自宅の近くに支店がある」など、自分にとって都合のいい銀行を選ぶとよいでしょう。銀行の選び方について詳しくは後述します。
●ステップ2 : 必要書類を準備する
ステップ1で決めた銀行で口座開設に何が必要なのか、確認して準備していきましょう。基本的には前述のとおり、マイナンバーカードなどの本人確認書類や住民票の写しを求められることが多い傾向です。
特に、銀行の窓口まで行って手続きする際は、忘れ物があると手続きを進められなくなるので注意しましょう。
●ステップ3 : 口座開設の申込みをする
口座開設の申込みは銀行の窓口に行き対面で行うほか、オンライン(インターネットやアプリ)で行える場合もあります。
窓口で手続きする場合は、「口座を作りたい」と伝えると申込書を渡されるので、住所や氏名などを記入して前述の必要書類を添えて提出します。
オンラインで手続きをする場合は、銀行の公式サイトやアプリで口座開設の申込フォームを開きます。住所や氏名などの基本情報を入力する欄が出てくるので、画面の案内表示に従って入力を進めて送信します。
Webオンラインの場合、必要書類はスマートフォンで撮影した画像などを送信することで提出できます。ただし、文字が読めないような画像だと再提出が必要になってしまうため、光の反射に気を付けて、ピントをしっかりと合わせて、書類全体が画像の中におさまるように撮影しましょう。
また、オンライン・対面どちらの場合でも、記入ミスや入力漏れに注意して、正しい情報を申告するようにしましょう。
●ステップ4 : キャッシュカード等を受取る
ステップ3の手続きが問題なく終われば、通帳やキャッシュカード、口座開設者専用のページのID・パスワードなど、口座の利用に必要なもの一式を銀行から受取れます。いずれも重要なものばかりなので、紛失しないよう気を付けて管理してください。
これで口座開設は完了です。いつでも口座を利用できる状態になります。
■未成年の銀行口座の活用例
未成年の人の銀行口座にはさまざまな活用方法があります。どんな使い方ができるのか、未成年で銀行口座を持つメリットとあわせて活用例を紹介します。
●子どもへのプレゼントとして
親が子どものために銀行口座を作ってあげて、将来的にプレゼントするという使い方ができます。
誕生日祝いやお年玉をコツコツと入金しておけば、将来的にまとまった金額になるでしょう。また、「出生体重預金」というユニークな方法もあります。これは、子どもの出生体重にちなんだ金額を預金するもので、子どもが大きくなったときにその意味を伝えられます。
ただし、入金する金額が大きい場合は贈与税がかかる場合があります。詳しくは後述します。
●貯金専用口座として
銀行口座は無料で開設できるので、いくつか用意して「生活費用」「長男の教育用」など目的ごとに口座を使い分けるのもおすすめです。
貯金用のお金とそれ以外を分けておくと、「手を付けてはいけないお金」が明確になるため貯めやすくなります。親が子どものための口座を開設する場合、その口座で将来の教育資金を貯めていくのも1つの方法です。
銀行口座の多くは、定期的に一定額ずつ貯金していくことができる「定額自動入金サービス」などの機能があります。コツコツとお金を貯めて将来に備えたい人におすすめの活用方法です。
●お金の管理を覚えるためのツールとして
銀行口座は入出金の記録が正確に残ります。子どもと一緒に管理することで、入出金や残高の確認といった基本的な使い方やお金の管理方法を覚えるためのツールとしても活用できます。
子どもがある程度大きくなってきたら、デビットカード(支払いに使うとすぐに代金が銀行口座から引き落とされるカード)などを使ってキャッシュレス決済を学ぶのにも使えるでしょう。
●初めてのアルバイト代の入金先として
アルバイトをしたら、そのアルバイト代を振り込んでもらうための銀行口座が必要になります。高校生なら自分で口座開設できるので、アルバイトを始める前に準備しておきましょう。
アルバイト代が入金された口座を自分で管理することで、お金の価値に気付いたり、やりくりのしかたが身に付いたり、さまざまな経験を得られるでしょう。銀行口座を持つことは、経済的な自立に向けた第一歩とも言えます。
■未成年が銀行口座を開設する際の注意点
未成年で銀行口座を作る場合、本人にとってそれが「初めての銀行口座」になる場合もあるでしょう。上述のような便利な利用方法がある一方で、まだ口座の扱いに慣れていないために、思わぬ勘違いやミスをしてしまう可能性もあります。以下のような注意点についてあらかじめ知っておきましょう。
●口座にかかる手数料を確認しておく
口座開設は、基本的に無料でできます。しかし銀行によっては、口座の維持や通帳発行にお金がかかる場合があります。
また、ATMでお金を引き出す際の手数料や、振込みをする際の手数料も銀行ごとに異なるので、口座を開設する前に確認しておくのがおすすめです。
●長年取り引きがないままだと「休眠預金」になる
口座を作って、何年もお金の出し入れをしないまま放置するのは避けましょう。10年以上にわたって取り引きがない預金口座は「休眠預金」になると法律で決められています。
休眠預金になると、そのお金は民間の公益的な活動の支援に使われます。休眠預金になった後もお金を引き出すことは可能ですが、本来の手続きよりも時間や手間がかかることが多いので注意しましょう。
また、休眠預金になっていなくても、銀行によっては2年以上取り引きがない場合などに手数料(未利用口座管理手数料)がかかることがあります。
●贈与税が発生する可能性がある
親が子のために口座を作ってあげる際に注意したいのが「贈与税」です。親が子ども名義の口座に入金して貯金し、将来的に子ども本人に渡すこともあるでしょう。しかしこれは、やり方によっては「名義預金(口座の名義人と管理する人が異なる預金)」とみなされ、課税される可能性があります。
ただ、年間110万円以下の入金であれば贈与税は発生しません。名義預金とみなされないためには、子どもに口座の存在を知らせて一緒に管理するなどの方法も有効です。
●成人になったときに手続きが必要になる場合がある
親が子どものために作った口座は、子どもが成人したら子ども本人が管理する口座になります。
子どもが17歳までなら、親がいつでも本人に代わって入金や出金などの手続きを行えますが、18歳になったら委任状が必要になります。18歳になるタイミングで、メールアドレスや暗証番号、パスワードなどの変更手続きや、キャッシュカードの引き渡しが必要になることも想定しておきましょう。
■口座を開設する銀行を選ぶ際のポイント
最後に、どこで銀行口座を開設するか迷ったときにチェックしたい2つのポイントを紹介します。
●利便性
まず1点目は利便性です。近くに支店やATMがあるか、オンラインで手続きできるか、公式アプリが使いやすいか、公共料金の引落先やアルバイトの入金先などとして指定できるかなど、便利に使えそうかどうかを確認しましょう。
●お得さ
前述のとおり、銀行ごとに手数料に違いがあります。特に、ATMで入出金したときにかかる手数料や振込手数料は要チェックです。
また、預金金利も銀行ごとに違います。金利が高いほど、預けたお金が増えやすいのでお得です。さらに余裕があれば、銀行が行っているキャンペーンやポイント制度なども確認すると、よりお得な銀行を見つけやすくなります。
■まとめ : 口座開設は未成年でも難しくない!
未成年でも銀行口座は開設できます。親が子どものために口座を作ってあげることもできますし、未成年でも自分で手続きできる場合があります。
本人確認書類など必要なものを準備したら、あとは窓口やオンラインなどで案内に従っていくだけなので、手続き自体はさほど難しくありません。この記事で解説した注意点に気を付けつつ、自分に合った銀行を選んで口座を開設してみてはいかがでしょうか。